今月の5冊

アダムとイーヴは知識の果実を食べる前から夫婦の営みをしていた!? 今月の5冊2021年10月

投稿日:10月 31, 2021 更新日:

今月は調子を崩して毎日の運動を
1週間ほど休んでしまいました。
本を買いに行くのも嫌だったので
積み本消化月間です。

何でこの本買っちゃったんだろうっていう
謎の本が山積みなので
ちょっとずつ減らして行きます。

殺戮にいたる病(講談社文庫)

エンターテイメント系の小説を
読書にカウントするかどうかは
意見が分かれると思いますが
今月の1冊目はゲーム『かまいたちの夜』の
シナリオライターで有名な安孫子武丸様の
『殺戮にいたる病』です。

僕は『かまいたちの夜2』の大掛かりな
屋敷の仕掛けが好きなのですが
『殺戮にいたる病』には屋敷の仕掛けは
出て来ません。
その代わり別の仕掛けが用意されています。
小説ならではの仕掛けで
「これは売れる」と思いました。

『殺戮にいたる病』の仕掛けを
漫画で表現するのは難しそうですが
犯人の顔を黒いシルエットにしたり
顔の上半分がコマで見切れてる様に描けば
絶対に描けないという事は
なさそうです。

そして誰もいなくなった(クリスティー文庫)

絶海の孤島に招待された10人が
10人のインディアンの歌の歌詞に沿って
1人ずつ殺されて行くという
見立て殺人の古典作品です。

というか
既にネタバレになってますか?

『そして誰もいなくなった』を読んでいない人は
この記事を読まない方が良いかも知れません。

そもそも正体不明の人物に招待されて
のこのこ絶海の孤島に行ってしまう招待客が
迂闊すぎる。
とは思いますが
展開が早くテンポ良く死んで行くので
飽きずに一気に読めます。

法で裁けない殺人者を
島に集めて1人1人SATSUGAIしていく
正義感の強い殺戮者。
殺人を犯した人間は殺しても良いという
はた迷惑な思想の持ち主です。
あんまり、お近づきになりたくないですね。

僕はミステリ小説を読むときでも
「犯人を当ててやろう」とは考えずに
淡々と読むだけなので
最後に犯人が判っても
「あーそうなんだー」みたいな感じなので
ミステリは向いてないかも
知れません。

福家警部補の報告(創元推理文庫)

倒叙(とうじょ)ミステリ
福家警部補シリーズ3巻目。
倒叙ミステリとは
犯人が先に判っているコロンボタイプのミステリです。

BS放送で『刑事コロンボ』が放送していて
ちょこちょこ観ているのですが
『刑事コロンボ』を観て『福家警部補』を読めば
倒叙ミステリを描ける。という訳ではない様です。

多分、四六時中トリックやら何やら考えないと
ミステリは描けなそうです。
僕はミステリ系のストーリーは全く思い付かないです。

漫画を出版している出版社、湧泉社(ゆうせんしゃ)の
営業部長を漫画雑誌『ルル』の連載漫画家がSATSUGAI。
出版業界も殺伐としてますね。
まぁフィクションですが。

今巻の3話目の爆弾魔の話は
福家警部補のライバル登場って感じで面白かったです。

3話目の犯人の爆弾魔も
『そして誰もいなくなった』の犯人と同じタイプで
法で裁けない悪党を自らの手で爆殺するという
正義感の強い、はた迷惑な思想の持ち主です。

黒猫館の殺人〈新装改訂版〉 館シリーズ (講談社文庫)

館シリーズ7冊目。

偶然、滞在中のホテルが火事になり
利き手を怪我して文章が書けなくなって
さらに記憶喪失。

偶然、屋敷の持ち主が家族ごと交通事故で死亡して
新しい屋敷の権利者になった女が
偶然、耳が悪く電話では話せない為
日記を見せなくてはならなくなる。

偶然、全内蔵逆位症。
偶然、冷蔵庫が故障。

これだけ天文学レベルの偶然が重なって良いのであれば
密室殺人だと思っていたら
被害者の死因は実は頭にニュートリノが
直撃しただけだった。というミステリがあっても良いですね。

良くないか。

ネタバレになりますが
屋敷のモチーフはルイス・キャロルの
『不思議の国のアリス』と『鏡の国のアリス』。

やはりルイス・キャロルの作品は
色んな作品のモチーフに使われてますね。
ルイス・キャロルの何がそんなに
多くの作家の心を惹きつけるのか?

そっちの方が謎です。
それだけ世の中にはドジスンが多いと言う事でしょうか。

ドジスンはルイス・キャロルの本名です。

失楽園 上 (岩波文庫 赤 206-2)

梗概(こうがい)あらすじが書いてあるので
一応、何となくストーリーは分かるのですが
本編の文章だけだと何が書いてあるのか
分かりません。

読者に聖書、バビロニアの神話、エジプトの神話
ギリシア神話、ダンテの神曲などの
知識がある前提で書かれているので
知らないと置いてけぼり。

どうやら地球が出来る以前から
すでに天使、天国、地獄は存在していた様です。
神(ヤハウェ)に逆らったサタンは
雷霆(いかずち)に打たれて地獄に落とされます。

サタンの配下の全体の3分の1の天使も
サタンと一緒に地獄に落とされます。

天使は霊的な存在で
通常は巨人サイズですが朱儒(こびと)にもなれます。
サタンと、その配下は謎の建築技術で
地獄に万神殿(パンデモニウム)を建てます。

神が地球と最初の人間アダムとイーヴを作り
サタンは神への復讐として
イーヴを唆(そそのか)して知識の樹の果実を
食べさせようと画策する。

というので全体のストーリーは合ってると思います。
一般的にイヴとかエヴァとか呼ばれている
アダムの妻ですが、岩波文庫に準拠して
この記事では「イーヴ」と表記しています。

霊的な存在の天使ラファエルと
人間のアダムが会話するシーンはシュールです。
神とイエスが謎の空間で会話するシーンも
滅茶苦茶シュールです。

イエスは人間として産まれる前は
霊体として存在していて、神と会話したり
サタンと戦闘したりします。

霊体のイエスは戦闘が強く
サタンを圧倒する攻撃力を持っています。
イエスが反乱した天使の軍隊を
単独で殲滅するぐらい強いのがウケます。

大砲を発明したのはサタンだそうですが
イエスは大砲で攻撃してくるサタンすら圧倒します。

サタンの主要武器は誑(たぶら)かし。
サタンは霊体なので
人間に直接物理攻撃する事は出来ません。
なのでイーヴの夢の中から
唆したり誑かしたりするしか出来ないのです。
そう考えると意外としょぼいですね。

『聖書』ではどうか知りませんが
『失楽園』では知識の樹の果実を食べる前から
アダムとイーヴは夫婦の営みをしていた様です。

知識の樹の果実を食べた事で
アダムはイーヴの裸に興奮する様になってしまい
ちんぽが勃ってしょうがないから
服を着る様になったと思っていたのですが
神の考える罪とはアダムがイーヴの裸に興奮
してしまう事やイーヴがアダムのちんぽの味を
知ってしまう事ではない様です。

アダムとイーヴが犯した罪とは何なのか
下巻が気になりますね。

ところで
「原罪」というのをご存知でしょうか?
最初の人間アダムが罪を犯した為
その子孫である全人類は罪人だという考えです。

罪人は地獄行きですが
その罪は教会で免罪符を買う事で
許され天国に行けるそうです。

全ての人間が罪人だという事にすれば
全人類に免罪符を売る事が出来ます。
免罪符を売る事で教会はボロ儲け。
これがキリスト教の仕組みです。

教会はどこも金ピカ。

時代によってキリスト教徒は教会に収入の10分の1を
支払わなければならない10分の1税なんていう物もありました。
逆らう奴は拷問や火あぶり。
恐怖と暴力で勢力を伸ばしたのがキリスト教です。

宗教戦争が起こる理由は
信仰の違いではなくお金。

億万長者になりたい人は
起業より宗教がお勧めです。
「お前ら全員生まれながらに罪人だ」
と言って回って天国に行ける紙を売るだけ。

『失楽園』を読んだからと言って
『ゴッドサイダー』みたいな漫画が
描ける様になる訳ではありませんが
天使の階級や悪魔の序列など
ファンタジーっぽい知識を
知る事は出来ます。

悪魔は
サタン
バルゼバブ
ベリアル
アザゼルぐらいの順番で偉い。

天使の階級は
熾天使(セラフ)
智天使(チェラブ)
座天使(スローン)
主天使(ドミニオン)
力天使(ヴァーテュー)
能天使(パワー)
権天使(プリンシパルティ)
大天使
天使
の九階級。

『失楽園』の作者のミルトンは天使の序列にあんまり
こだわりがある訳ではないそうなので
順番は合ってないかも知れません。

失楽園_001_1024_1457
ほしぶどう
宮野ともちか
リカ

エデンの園が楽園だと言っても裸足で歩くのは足が痛いので
靴とソックスは履いた方が良いと思います。

前回の記事はこちら。

-今月の5冊

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